天道がよくわかる本
19 精進素食について
三えんと五くん
天道の食事は三厭五葷を食さない精進素食を基本としています。では三厭五葷とは何でしょうか。三厭は、獣、鳥、魚のことであり、葷とはねぎ類のことで、その内の五葷は葱、大蒜、韮、薤、浅葱のことです。では、なぜこれらを食すると良くないのでしょうか。
まず三厭ですが、私たちは食事をすることにより、さまざまな栄養素を体内に摂取しています。しかしこれは単に栄養素のみを摂取しているのではなく、食物と一緒にその食物に含まれる気を体内に摂り込んでいるのです。私たちが動物の肉を食べようと思えば、まずその動物は殺されなければなりません。当然殺生を戒める意味もあります。ラウムさまはすべてを生かし育む親神さまです。故に殺生を大変悲しまれます。また、そのものが殺される時に発する念はその肉にも宿り、それを体内に摂り込むことにもなるのです。その念が積み重なれば病気の原因ともなりますし、肉食の者は菜食の者に較べて気が荒くなるとも言われています。 さらに、因縁因果の関係で見るならば、食したら食されるという因縁を結ぶことになります。食された肉は、食した者の血肉となり、約半年間その人の肉体の一部として肉体に喰い込んでいきます。また食される動物も食すものと因縁を結ぶことにより救われようとします。すなわち食した者は、食されたものの因縁を背負うことともなるのです。
しかし中にはこんな質問をする人もいます。「なぜ動物は駄目で、植物は良いのか。植物だって生き物だし、感情だってあるじゃないか」と。その答えを簡単に言えば、動物に宿る霊は輪廻転生している霊、本性であり、植物に宿る霊は、精霊であり生命力だけの存在です。ということは、食した肉は、今は亡きご先祖様の転生した姿であったかもしれません。それを考えれば、なぜ精進素食が必要か分かるはずです。
近ごろBSE(狂牛病)が取りざたされていますが、その原因は同じ牛の骨から作られた飼料にあると言われています。同じ仲間を共食いすることによって病気にかかります。共食いとまでは行かないにしても、同じ霊性を宿すものを食べるのは霊的な共食いであり、修行者として好ましくないのは事実です。したがって点伝師は精進素食をお誓いしていますから、これを守ることは当然です。しかし道親の方で精進素食をすることが難しい方や、普段精進されている方でも付き合い等でどうしても食さなければならない場合は、その分、食したものの因縁を背負い救うつもりで護摩木や符の一枚も書いてあげましょう。
次に五葷についてですが、「葷酒山門に入るを許さず」と禅寺の山門の脇の戒壇石にはこのように書かれています。このように仏教でもこれらを食することを戒めていました。なぜ戒めたかと言うと、葷(ネギ類)と酒は心を乱し、修行の妨げになるからだとされていますが、他にいろいろな説があります。
一つに五葷は五臓の気を傷つけるとされています。葱は腎臓、大蒜は心臓、韮は肝臓、 薤は脾臓、浅葱は肺の気を傷つけるとされています。
漢字から見ても、「葱」という字はくさかんむりに心が匆(いそがしい/あわただしい)と書きます。また、ねぎ類はよく肉料理の等の付け合わせに用いられることが多いですが、肉と一緒にねぎ類を摂ると肉の消化を助けます。では肉類を摂らない者がこれ等を食すると、我が身を消化(消耗)してしまうとも言われています。また、五葷は人の死肉から生えたものだという言い伝えもあります。
精進素食が最も人の健康的な食事であることは間違いありません。料理さえ工夫すれば、大変美味しい食事に出会えます。