天道がよくわかる本
24 言霊とは何か
心(魂)の入った言葉
大典の御聖訓において、様の随駕で降られた童子のご神仏である雲宝二童子さまは「様の言霊を聴く」と言われて言葉を締められたことがありますが、この「言霊」とはどういうものなのでしょうか。
言葉は単に情報伝達の手段や音だけではなく、言葉に霊が宿り相手の霊に直接響き訴えたり、また発する言葉で物事を実現させたり、願いを成就させる力を秘めているのです。その心(霊)の入った言葉を言霊といいます。また、言葉ばかりでなく音霊と言って、楽器や拍手の音など、音そのものに霊的な力があるとも言われ、鳴り護摩の釜の音や鈴払いなどで浄化したり、祭の時に笛や太鼓などを用いるのも、全て音の持つ力を用いているのです。この言霊に関しては『願いを叶えてくれた神々』という泉珠さまの出された本の中に詳しく書かれておりますので、その要約を抜粋させて頂きます。
「太古の文字のなかった時代、言葉は音の響きだけでした。それが言霊となって言葉の響きが神の響きと共鳴し合っていました。ですから、音の響きが同じものは共通した意味を持っています。
例えば「カミ・神・髪・上・噛み・紙」「チ・地・血・地」などがそうです。言霊という言葉は、『万葉集巻十三』の中で柿本人麻呂によって詠われています。
「葦原の 瑞穂の国は
神ながら言挙げせぬ国 然れども 言挙げぞあがする 事幸く
真幸く 座せと 恙なく座せば 荒磯波 ありても見むと
百重波千重波しきに
言挙げすわれ 言挙げすわれ」
(意訳「実り豊かな日本の国は、神々の幸せを受けているので「コトアゲ」をしない国なのですが、しかし、あなたの幸せを願っているので、私はあえて「コトアゲ」をして、あなたの幸せを願います。百回も千回も」)
それに対して反歌として
「磯城島の大和の国は 言霊の
助くる国ぞ 真幸くありこそ」
(意訳「日本の国は「コトダマ」が人を助ける国なので本当の幸せとなることでしょう」)
ここで言う「コトアゲ」は、「コトダマ」の力を発揮させるために、素晴らしい言葉を口に出して発声するということです。このように言葉の響きそのものに神々の力があったということをあらわしています。この言葉の「響き」が神々であるという表現は、現代人も同じ感覚を持っているのではないでしょうか。「悪い言葉は言ってはいけないよ」という感覚がそれです。」以上が『願いを叶えてくれた神々』の本からの要約抜粋ですが、これを見ても私たちの発する言霊(言葉)の重要性やその力が分かって頂けると思います。
人の思いや祈り、念は人の言葉に乗って周りに影響を及ぼしていきます。それが良いものであれば良い影響を、悪いものであれば悪い影響を与えてしまいます。祈願会のように多くの人がその祈りと言霊をもって願えば、必ずその願いは良い方向へ導かれ、逆に人の陰口や批判の言葉は不成仏霊を操りさまざまなところに悪い影響を及ぼしてしまいます。いつも祈りと相手を思いやる言霊を発することを心掛けましょう。泉珠さまは私たちを思えばこそ時に厳しく強い言葉であっても思いやりのある言霊を私たちに送って下さるのです。