天道がよくわかる本

27 家郷信書 その①

三山坡の別れ


さまの綴られた『家郷信書』という書には、私たちの霊が理天より修行の場であるこの三界へと降され、そして降された児等を救うべく、弥勒さまに命が降るまでが綴られています。その書の様子をかいつまんで書いてみます。
 さまは天地を生じ陰陽の判別を終えた後に、初めて私たちの原霊を、修行の場である東土(三界=西天極楽に対して東土と言う)に降されようとしました。子供たちをより鍛えるために、霊の修行の場、学校である三界へ送り出されようとしたのです。しかし、何度言い聞かせても、私たちはさまの言いつけに従わず、逍遥自在なる理天の園に遊ぶ毎日を送っていました。
 その様を見てさまは、何時までもこれでは駄目だと判断され、策をもって私たちを修行の場に送り出されたのです。これが「三山坡の別れ」と言われるものです。
 さまの策とは、自らの中指を噛み、鮮血を流して美酒を造り、理天と東土を隔てる地に在る三山坡に私たち(羅漢、観音)を集めその美酒を飲ませました。それを飲んだとたん私たちは大いに酔っぱらい、あたかも魂の抜けた如くとなりました。それに乗じてさまは私たちの仙衣と雲靴を取り上げ理天へと持ち帰ったのです。この仙衣と雲靴がなければ私たちは逍遥自在に動き回ることもできず理天へも帰れません。
 さまは理天へと帰り東土の三山坡を見下ろすに、眼に血涙流れ、大いに悲しき声で泣きました。次第に酔いから醒めた私たちは、さまの姿がないのを知り、捜し回りました。しかしどこにも見つけることができず、嘆き悲しみました。着る衣もなく、履く靴もなく、今まで感じることのなかった空腹感を味わい、寒さに震えながらも、手に手をとって嘆き泣き続けました。そして東西南北へと分かれさまを捜し続けました。
 見かねたさまは理天より私たちに声を掛られました。「児等よ。我が言葉を聴きなさい。餓えればかの松栢を食らい 渇けば涼清水泉を飲みなさい。松栢の枝葉を冠帯とし、樹葉で身を被い寒さを凌ぎなさい。そして時を待ちなさい。我は老祖(明師)を促がして世に降します。それまで五穀を自ら蒔き、自ら食しなさい」とさまは泣きながら私たちに告げられました。そして続けて「時が至ればは必ず紅塵(三界)へと降り児等を救います。それまで児等に八つの宝(八徳)を与えます。それを以って世を治めなさい。七星の剣(妙智慧)を与えます。それを以って山を開き水を分かち生死の路を開きなさい。汝等の行くに任せます」また「汝等に魔を降す宝鏡をも与え授けます」と申され、「故に快く東土に降りなさい」と泣きながら私たちの泣き叫ぶ声を振り払って理天へと帰られ、私たちを理天より見守り続けてこられています。
 そして、今がさまとのお約束の時です。天道という理天へと帰る道が今降されています。全ての霊がさまの元に帰れますように、三山坡にて為されたさまよりのことづけについてもう少し触れてみたいと思います。


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