天道がよくわかる本

50 天命の道具②

  一般の現世利益の符との違い

 天道の道具(護摩木やお符)と一般の神社やお寺、宗教などの現世利益のお札とはどこが違うのでしょうか。今回はそれについて書かせて頂きます。
 天道の道具に限らず、一般の現世利益のお札でも多くの現世利益を生んでいます。一つは願う者の強い祈りがご利益をもたらしたのかもしれませんが、多くの場合はそのお札で働く霊神によるものです。しかし目に見える結果は同じに見えても、天道の道具と一般の現世利益のお札は根本的にその目的が違います。
 理天は永遠の極楽世界ですが、霊神の世界(気天界)は一時的な極楽であり、霊神の世界にも寿命、すなわち在天期間というものがあります。在世中に積んだ徳に応じて気天界に居られる期間が定まっているのです。そこで霊神は在天期間を少しでも延ばそうと人から徳を取ろうします。
 人の徳は前世にてその人が行った結果であり、それは福禄寿にて表わされます。そして今世の行いは来世に反映されるのです。ただし、今天道を行じる皆さんは最後の輪廻の中に居るわけですから、最後の因縁清算をしているわけです。
 福禄寿の福は幸福であり、禄は食いぶち、もしくは財産、寿は寿命です。願いを叶えた代償にこのいずれかを取ろうとします。すなわち福禄寿と引き替えにご利益を得たに過ぎません。
 例えば財を願いそれが叶ったとすれば、禄が増えた分、寿ないし福が減っているので全体は変わりません。それでも人はそれで満足し、霊神はその分、徳を得て在天期間を延ばすこととなるわけです。したがって在天期間を欲する霊神は宗教を興そうとするのです。例えば材木を切るのに、ノコギリ(道具)を使い人(と霊)が努力して切るのが天道の道具であるとすれば、一般の現世利益のお札は、注文書にこの材木を切って下さいと書いて渡すのと同じで、後で必ず請求書が回ってきます。
 天道の道具は天命の許に出されたものであり、その一番の目的は因縁の解消にあるのです。ご利益は因縁解消の結果に過ぎません。そうでなければ因縁はいつまでも残り、別の形でその人に因縁解消を求めて来るだけです。たとえ今の悩みが解決したとしても、その原因となっている因縁が解消されなければ、新たな悩みの素となり苦しみ続けます。形のご利益以上に因縁解消が大切なのです。
 気の世界の神すなわち気天の霊神は、情によりお賽銭を出してくれた人にひいきして、形だけのご利益をもたらすかもしれません。しかし理天のご神仏は違います。形のご利益よりも因縁解消、人の成長を望みます。天道の道具で働くのは気天神であっても、それを指導するのは理天神ですから、例えば財を望んだ者に対し、お金を渡すか仕事を世話するかの違いのように、必ずその者にとって最も良い方向へと導きます。
 その者の因縁解消、徳積みにより一族すべてに潤いが行くのが天道の道具です。


[ 一覧へ ]