天道がよくわかる本
55 天道のルーツ
種は唐、花は天竺、実は八洲
天道はさまより降されさまへと戻る(帰一する)道ですから、天道のルーツはと問われれば「さまです」と答えるでしょう。これは当然のことですが、それでは天道の教え、そして道統(道脈)と言われる人から人への伝承ということではどうでしょうか。天道のルーツはどこにあるのでしょうか。
それではまず、人として一番始めに道を伝える道統の祖となられた方はどなたでしょうか。それは伏羲さまです。正確な時代は判りませんが、伏羲さまは紀元前三〇〇〇年頃の中国の伝説上の方で、雷神と仙人の間に生まれた子と言われており、人の頭に蛇の身体であったそうです。伏羲さまは先天八卦を発見されたり、食べ物が薬であることを教えたり、針治療やさまざま知恵を人に授けて下さいました。
そして伏羲さまの後、天道は神農さま、黄帝さまへと伝えられ、お釈迦さまの時代にインドへと移るまで三〇〇〇年以上にわたり天命は中国にありました。そして西暦五〇〇年頃、達摩祖師(東土初祖)がインドより再び中国に天命を移され、その後は恩師天然古仏(東土十八代祖)までの約一五〇〇年近くの間、中国に天道の天命があったのです。
このように長い道統の歴史の中で、その大部分の時代において天命は中国にありました。そして現在、天道の天命は台湾を経由して日本へと受け継がれています。「種は唐(中国)、花は天竺(インド)、実は八洲(日本)、継ぎ去り来たり道の緒ぞ統ぶ」と言われるように種、すなわち天道のルーツ、発祥の地と呼べる所はやはり中国ではないでしょうか。
その果実は日本にて結ばれました。天道が全世界に広がり、全ての霊を救い尽くすために、日本で実った果実は新たな種を宿して再び中国へと天命をお返しする時代となったのです。
しかし、天命は長年にわたり中国にあり、それを護り続けてきた霊団にとっては、天命に対する執着も強く、今天命が日本にあることも認めたくないのが心情でしょう。そして天命を逆にお返しすると言っても、それを素直に受け入れることもできないのです。
平成十五年十一月、中国へと赴いたことは、いよいよ道が大詰めであることの証でした。天命は誰のものでも、どの国のものでもなく、全ての霊、全世界の共有のものとして全世界を覆い、全世界にその光が届かなければなりません。その最後の詰めが、天道発展の大きな障害となっている天命に対するさまざまな念を解消し、共に天命を担うという心からの融合ではないでしょうか。道のルーツである先輩方を救わせて頂けるということは、同時に自らの一族を救って行くことなのです。